IFAのお客様から見れば、担当のIFAがどのような運用を行っているかは興味があるところではないでしょうか?もし勧めてくる商品とIFAたちが運用している商品があまりに違うと、勧めてくる商品に不信感を持ってしまいますよね?いい商品は自分たちで最初に取って、自分たちが儲かる商品だけを顧客に売っていないか、ということも気になります。

今回、検証もかねて現役のIFAに運用ポートフォリオを聞きました。今回、教えてくれたのは大手IFA法人の代表取締役であるAさんです。Aさんは大手IFA法人を経営する傍ら、セールスマンとして顧客との取引のフロントに立つ忙しい日々を暮らしています。

Aさんの現状-長期間かつハイリスクの運用が許容できる状況

Aさんのケースでは、2つの前提条件が投資方針を決定づけたと言います。その条件とは。

①      年齢が40代と若く、家族にも大きな支出の予定がない

目先に大きな支出の予定があると、ましてやその支出の金額が確定しないとなかなか長期の運用ができません。Aさんの場合、当面大口の支出がないことから長期間にわたっての運用が可能でした。

②      給与収入があり通常の生活に困らない

運用以外からの収入が少ないと、確実に一定のキャッシュフローが見込める運用を行う必要が出てきますが、Aさんの場合は通常の生活に困らないだけの給与収入が十分にありました。この結果、運用に係るリスクを抱えることが可能でした。

このような場合、長期にわたって、また一定のリスクを許容できるので、期待できるリターンを最大にすることが出来ます。

図表1:Aさんの前提

出所;当社作成

PEファンドに8割投資

図表2:Aさんの投資ポートフォリオ

出所:当社作成

結果としてAさんが選んだ投資ポートフォリオは、8割がPEファンド、15%が非上場株、5%が日本の上場株式でした。実に95%が流動性をそれほど持たない運用資産で占められています。詳細は以下の通りです。

①      PEファンド

銘柄は10件程度に分散し、リスクの分散を図っています。また想定されるエグジットの時期も分散して、平均残存期間が3~5年になるようにしています。

PEファンドを中心に据えたのは、マーケットとの相関性が低いことと、毎日の時価評価に一喜一憂する必要がないからです。Aさんは仕事柄顧客のポートフォリオを見ていますが、毎日市場を見て顧客にアドバイスをしていると、自分の運用のために市場情報をみるのがうんざりするのだそうです。その点、PEファンドであれば数か月おきの報告を待つだけなので、イライラしなくて済みます。

②      非上場株

Aさんは他社の社外取締役を務めていますが、それ例外でも運用目的で3社ほど数百万円ずつ投資しています。再生可能エネルギーやITなど成長が期待できる分野のアーリーステージの企業に、エンジェルとして投資しています。

③      上場株

成長が期待できるマザーズ銘柄を中心に分散投資しています。

IFAで学んだこと

Aさんは昔は、運用といっても定期預金しか知りませんでした。顧客の運用相談に集中するあまり、自分の運用には気が回らなかったと言います。

IFAを起業するようになって、初めて預金以外の運用商品を知ったそうです。そしてIFAとしての活動により、いくつかの発見があったそうです。

①    預金以外の運用商品の存在

預金が最高だと刷り込まれていましたが、長期的な運用の中で株やその他の資産が、預金をはるかに上回るパフォーマンスを出すことを知りました。預金の金利が0%にまで低下した現在、冷静に運用商品の比較検討を行えるようになりました。

②    広がった人脈から紹介される案件の存在

IFAとして富裕層と接するうち、非上場株などの紹介を受けるようになりました。富裕層独自のネットワークにより紹介される優良な案件が存在することを知りました。

顧客とのコンフリフトを避けるために気を付けていること

最後に顧客とのコンフリクトについて聞いてみました。当然のことながら、現在の自分の投資資産はすべて、自身が他の金融商品セールスマンからの勧誘を受けて自身で判断して投資したものでした。PEファンドでは、売れ残ればIFA自身が投資することが可能なものもありますが、まずは顧客の意向を確認すること、自身が投資した後でも顧客が希望すれば投資できる十分な残高がある、などを自身が投資する条件にしているようです。

顧客が運用に成功して、再投資に自分の大手IFA法人を使ってもらえることが喜びであると胸を張っていました。

この記事を書いた人

WMJ編集部

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