突き刺さった富裕層は資産を守る事が最重要課題

高校時代の担任の先生に「あなた方の最後の平等な戦いは受験戦争です。世の中に出ていけば、自分の努力だけではどうにもならない社会が待っている」「受験は自分の努力や成績が、歪曲されることなくまっとうに評価される。一方で、社会に出れば、実力以外での評価が伴う、理不尽なことだらけ」と、高校1年生の時に言われた衝撃を未だに覚えています。

確かに、そうかもしれません。受験では圧倒的にトップが評価されますが、社会に出れば出る杭は打たれ、周りに馴染み、標準化することが求められます。その意味で、突き刺さったような超富裕層になることは、税制面も含めて非常に難しい社会が日本です。読者の皆さんのように、持てるものを持ち、一部の突き刺さった層の人は、むしろ、現状維持や資産を守る事が重要になってきます。

富裕層ほど、リスクを取りたがらない

資産数億以上の方向けのクローズドなセミナーで富裕層の方々に「2倍株ってどう思いますか?」尋ねると、口をそろえてほとんどの方が「2倍で十分」「2倍になれば嬉しい」と話します。10倍や20倍といった一発逆転の発想を持つのは、むしろ、手元資金の小さい人の発想なのかもしれません。富裕層ほどリスクを取ることを嫌う傾向があります。投資手法は様々ありますが、今回は1つの例として「黒字転換2倍株」という投資手法をご紹介します。超富裕層の皆さんにお伝えしたいのは、資産運用は自分なりのロジックや、自分が腹落ちするロジックの中で生きていけばいいということです。自分に合わないと感じる投資手法や投資商品に手を出す必要はありません。その意味でも、今回のマイルドな投資法である「黒字転換2倍」が、ご自身の肌なじみに良いと感じれば参考にしていただければと思います。

黒字転換2倍株、地味だが堅実

黒字転換2倍株の投資法は、私が、全国各地のセミナーで5年間にわたって個人投資家の方々にお伝えしてきた、的中率70%超の堅実な投資法です。「黒字転換2倍株投資術」とは、四半期決算データで営業利益・経常利益が「赤字」から「黒字」に転換するタイミングの銘柄をいち早く見つけて買い、2倍になったら売るというシンプルな方法。「リスクを取りたくない、損切りの回数を減らしたい、でも利益は欲しい!」という堅実派の方に好まれる、マイルドな投資法です。特に、これから経済の正常化により「業績相場」へ移行すると考えられます。業績相場では、黒字浮上する銘柄の力強い値動きが予想できます。黒字転換(クロテン)2倍株投資とは、四半期決算データで営業利益・経常利益が「赤字」から「黒字」に転換するタイミングの銘柄をいち早く見つけて買い、2倍になったら売るというシンプルな方法です。株価10倍という派手さなないけれど、堅実に2倍株を狙っていきます。時に、黒字転換前までは「赤字」であったことから、株価が安く放置されている(割安)傾向があります。黒字転換後に株価が低いところか上昇するケースが多く見られます。

銘柄の選定方法ポイントは「四半期」で黒字転換

クロテン2倍株を見つけ出すには、証券会社のスクリーニングの活用だけでなく、日々のニュースで「黒字浮上」「黒字転換」といったキーワードにも敏感に反応するようにしてください。決算のニュースで「黒字浮上」といったニュースをみれば、その企業をチェックして、購入予定の銘柄リストに入れておきます。リストは手書きのノートでも、エクセルのファイルに記録したりなどでもいいです。忙しい方は、その日に具体的に企業の業績をチェックできないこともあるでしょう。週末など、時間に余裕があるときに、その企業の業績がなぜ、黒字転換をしているのかを確認してください。ポイントは「通期(1年間)」で黒字転換している銘柄ではなく、「四半期(3か月)」で黒字転換している銘柄を探すことがコツです。通期の黒字転換も、もちろん株価の立ち上がりを示す重要な兆しですが、その一歩手前の四半期での黒字転換を捉えることをオススメします。銘柄によっては、通期の黒字転換銘柄は、既に株価が上昇してしまっていることもあります。超富裕層の皆さんであれば、スクリーニングや「黒字転換」のニュースキーワード選定を誰か他の人に任せるのもありです。作業に当たる部分を誰かに任せることができるのは、富裕層の強みです。まとまったデータを吸い上げて、最後の銘柄選定や投資の決定だけ自身で行うことで良いでしょう。超富裕層は、仕事やプライベート、家族のことなど、日々様々な事で意思決定をしなければなりません。忙しいのです。その意味で、自分でなくでもよい部分はできるだけ「人に任せる」。そのことによって、忙しさの中に余裕が生まれます。その余裕が、きっと誰かの価値観ではなく、自分の価値観で生きることに繋がるのだと思います。自由な超富裕層が日本に増えますように。

この記事を書いた人

馬渕 磨理子

認定テクニカルアナリスト(CMTA®) 公共政策修士

京都大学公共政策大学院 修士過程を修了。法人の資産運用を自らトレーダーとして行う。その後、フィスコで、上場企業の社長インタビュー、財務分析を行う。全国各地で登壇、プレジデント、週刊SPA!、Yahoo!ファイナンス、ダイヤモンドZAI、日経CNBCなど多数メディア掲載・出演の実績を持つ。現在は、ベンチャー企業で未上場マーケットのアナリスト・マーケティングを担当。大学時代は、国際政治学を専攻し、ミス同志社を受賞している。

【連載等】
マネックス証券での連載、Yahooファイナンスの記事掲載、ラジオ日経の出演経験などがあり、『PRESIDENT』『週刊SPA!』『日経CNBC』『ダイヤモンドZAi』『Yahoo!ファイナンス』『週刊女性』『テレビCMマネックス証券』など多数のメディア出演